30年前、青枢会は「生命芸術」を旗印に、美術界第一歩を記しました。
 私たちを突き動かした「やむにやまれぬ心の叫び」は、一つの美術団体を創り、美術界を振り向かせるほどのエネルギーを発していました。20世紀末へ向けて、個人の時代はすでに輝きをうしないつつあり、出口を見失った者の断末魔の叫びだったのかもしれません。
 30年を経た今、思い起こされるのは「展覧会のこの場を真っ白な土俵にたとえ、この土俵だけは絶対に汚してはならない…」。青枢の初期、だれが言うともなく語り継がれていました。集合解散を繰り返しながらも、空中分解することなく今日を迎えられたのは守るべきものを知っていたからです。出口を見失いかけたにもかかわらず自らのエゴにこだわらなかったのは、遙か先にでも一筋の光明を実感したからこそ…。
 青枢会は新たに「生命芸術運動」を提起し、歩み始めたばかりです。本当の美の伝道者として、朽ち果てるまでの長丁場です。日々刻々と変貌を遂げ続ける、生命との闘いでもあるでしょう。
 青枢展が一般公募を始めて、今年で10年を迎えました。大賞以下各賞を設け、多く方が受賞されました。受賞後、何事もなかったかのように次の作品に取り組み、次の展覧会に向けて黙々と会の仕事をする姿に感動すら覚えるのは私だけではないでしょうか。場が人を作るというたとえがあり、ならば賞は何を…。
 芸術家は常に出発点に立つ覚悟の上で、初めて芸術家たりうるのではないでしょうか。自らが育った環境の中で培った概念が通用しない、社会状況の変化の中に身を置き、何かをなすには、いつでもここから始まり、永遠に何かを追求していきたいものです。
長い道のり、自らを律し奢らず、そして決して油断することなく歩んでいきましょう。
(第31回青枢展図録より抜粋)

青枢会理事長
郷原 愼一



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